骨盤の歪み

骨盤の傾きが透けて見える背後からの画像

「骨盤の歪み」というワードをよく耳にします。
「歪み?」なんてきくと、なんだが不安になりますよね。骨が変形しているような、怖いイメージを連想しませんか。
そんなことはほとんどありません。先天的なものか、長い年月をかけてある箇所にコツコツと特殊な外圧をかけていかない限り、骨が歪むなどということは考えにくいです。
では、よく言われる「骨盤の歪み」とはどういうことでしょう。
それは「骨盤の傾き」です。
骨が変形しているのではなく、「傾いている」といったほうがより正確な表現でしょう。骨盤という身体の土台になる部分が傾いてくると、腰や股関節に負担がかかったり、首・肩や足首にもよけいな緊張を強いることにもつながります。
では、このような「骨盤の傾き」はなぜ起こるのでしょうか?
それは骨盤のポジションをキープする筋肉のバランスが崩れるからです。
骨格というものはそれ自体でポジションをキープすることはできません。骨に付着している筋肉がさまざまな方向から適切な力で引っ張ったり、ゆるめたりして、その絶妙な拮抗バランスの結果、骨格はしかるべきポジションを維持することができます。(これは骨盤に限らず、他の部位でも同じことがいえます)
ある筋肉が強く引っ張るような癖がつくと、当然それに付着する骨格はそちら側に傾くようになりますよね。その症状が骨盤周辺におきた場合に骨盤が傾き、俗にいう「骨盤の歪み」につながることが多いのです。この場合、骨盤の傾きをつくっている原因は筋肉にあるので、筋肉の調整をすることで骨盤の傾きを改善することが期待できます。

骨盤の傾き

もう一点「骨盤の傾き」に加えてよく耳にするのが「骨盤の開き」です。
特に出産後の女性にとっては敏感になるワードではないでしょうか。少し骨盤の構造についてふれたいと思います。
骨盤には「仙腸関節」という関節と「恥骨結合」という結合部があります。日常生活でこの関節、結合部が大きく動くという事はほとんどありません。動いたとしても1~2㎜といわれています。なので、一般の人が見て「ずれている」と感じる程の動きはないという意味に理解していただければと思います。
ですが、唯一大きく動くときがあります。
それが出産のときです。
体内にリラキシンというホルモンが分泌され、靭帯である恥骨結合がゆるみ、産道が確保されます。
このホルモンは一般的には、出産の数か月前から出始め産後数日で出なくなるといわれています。
なので、出産時に骨盤は一時的に開き、産後には元に戻っていくということになります。
「でも、産後も開いたままのような感じがするのはどうして?」
これには諸説ありますが、ひとつわかりやすい説を上げるならば、「骨盤回りの筋力が昔に比べて低下している」という考えです。
 文明機器の発達などにより、現代女性は以前と比べて家事を含めた生活習慣がだいぶ変わりました。
今、身の回りは代わりに仕事をしてくれる家電製品であふれていますよね。
毎日の雑巾がけや布団の上げ下ろし、畑仕事など足腰を使う仕事が減ったことで、骨盤周辺の筋力が以前に比べて落ちたため、産後の回復に時間がかかるようになったのです。
実際、昔にくらべるとスリムな体型の女性が増えました。
また高齢出産者が増えたというのも、産後身体の回復の遅れに関係していると考えられます。
骨盤周辺の筋力が落ちた身体で、かつ難産だった場合、骨盤回りへの負担はより大きくなります。
上記のような状況で出産された場合、恥骨結合の回復に時間がかかり「骨盤の開き」を感じる女性が多いです。
これらとは別に、「骨盤の傾き」からくる「骨盤の開き」というものがあります。
冒頭で「骨盤の傾き」に関して説明させていただきましたが、産後の女性は骨盤が前に傾いている場合がほとんどです。
骨盤の前傾 というものです。
妊娠中大きく・重くなったおなかが前にせり出すことにつられて、それを支える骨盤が前に傾いてしまうのです。
骨盤が前に傾くと、股関節の構造上、大腿骨(ももの骨)が内側にねじれます。(ギュッと狭まる感じ)
結果、股関節の付け根がギュッと内側にしまり、加えて傾いた骨盤によって、正面から見るとまるで骨盤が横に広がったように感じる・・・という方が多いです。
つまり、「骨盤の開き」の正体は「骨盤の傾き」+「大腿骨(ももの骨)のねじれ」という場合がほとんどです。

骨盤の歪みの原因

「骨盤の歪み」「骨盤の開き」に関して相談を受けるのは、産後の女性がとても多いです。
 なので、当院では産後の骨盤の違和感という点から原因を次のように考えています。
・妊娠中にお腹が前に膨らんでその重さで腰が反り、腹筋とお尻の筋力を使わない姿勢が癖になってしまったため。
その癖づいた姿勢により、骨盤は前傾が強くなる。 → 「骨盤の傾き」
・それに連動して、大腿骨(ももの骨)が内側にねじれ、正面から見ると骨盤が横に広がったように感じる。 → 「骨盤の開き」

当院の施術

・縮んで硬くなっている腰からお尻、ももの筋肉を緩めることで、腰~骨盤の関節と、股関節を動かしやすくする。
・腹圧、お尻の筋肉の使い方を覚え、骨盤を含めた全身の姿勢、歩き方改善のトレーニングをする。

特に一人目のお子さんの産後は、初めての苦労の連続で精神的にも体調的に不安定になっている方が多いです。
初診のカウンセリングで不安なことや、疑問に思っていることをできるだけお話しいただいて、納得していただいた上で施術に入ります。
時期の目安としては、1か月検診が終わって問題がなければ、それからで大丈夫です。
1か月以内は施術してはいけないということではないのですが、早めに施術をご希望の方は一度ご相談ください。お身体の状況をうかがってから施術時期は判断いたします。
産後1か月~6か月位の間にいらっしゃる方が多いですが、半年~1年と経って「もう遅いの?」と不安な方も、大丈夫です。確かに、症状の軽いうちに対処したほうが改善も早い場合が多いのは事実ですが、身体の改善に遅すぎるということはありません。身体の癖、使い方の問題なので、しかるべき施術とエクササイズで変化をつけていくことができます。

※みなさまへのお願い
当院は個人の院のため、施術中にお子さんをみれるスタッフが他におりません。育児中で施術をご希望のお母さんにはご面倒をおかけしますが、どうぞご了承ください。